若いエネルギーやアイデアをどこに振り向けるか

平均寿命の伸び自体は、社会全体として喜ぶべきことでしょう。しかしその分、認知症の高齢者が増えるわけで、その世話をする人の数も増えることになります。

基本的には家族がその役割を担うわけですが、家族の誰もが積極的に関わるとは限りません。仕事や子育てとの両立が難しかったり、お互いに押しつけ合ったり、家族内の関係がギクシャクすることもよくあります。

社会に視野を広げると、これは若い人の労働条件の問題とも結び付きます。高齢者大国になるほど、その世話は家族だけでは賄い切れず、多くの介護職員が必要になります。

しかし、スキルのある職員が慢性的に不足していることは周知のとおり。労働力人口が減少傾向なうえ、たいへんな重労働に見合うだけの待遇をなかなか得られないことが主な原因と言われています。介護の仕事にやりがいを覚えていたとしても、経済的な理由や、もしくは本人の結婚や子育てとの両立が難しくなって離職せざるを得なくなる場合もあるでしょう。

一方、仮に介護職員を十分に雇用できたとすると、今度は若い労働力が介護に吸い取られていいのかという議論も沸き起こります。若いエネルギーやアイデアを、もっと経済を牽引する分野に振り向けてこそ、国家は国際競争力を持ち得るのだと思います。

介護職員の確保には様々な問題が(写真提供:Photo AC)