岡本 世に出ることで、「あなたの作風はこうですよ」と期待されるようなところがありますよね。それに対して私はどう向き合えばいいのか、時々考えます。

 いや、期待には応えなくてもいい。そんな義理、ないもの。

岡本 わ~っ、言いきっちゃうところがカッコいい!

 エッセイやインタビューの依頼を受けた時、相手が期待している答えがわかることってあるでしょう。たとえば私なら、シングルマザーであることについて聞かれた時、もうちょっと世の中にモノ申してほしい、みたいな圧を感じることがあります。そんな時に作った歌がこちら。

 

開花宣言聞いて桜が咲くものか
シングルマザーらしくだなんて

 

「期待に応えないぞ」という感情も歌になる。

岡本 なるほど。とはいえ短歌は、必ずしも事実だけを書いているわけではないですよね。サラダ記念日の歌も、実際はサラダではなく唐揚げだった、というウワサも……。(笑)

 現実そのものを詠っているわけではないけれど、そこにある心情は嘘ではない。虚実皮膜が創作の面白さだし、他人に届けるための技術でもあると思います。

岡本 独りよがりでよかったらノートに書き溜めておけばいいけれど、やっぱり人に届けたいから。ちょっぴりフィクションを加えるのも創作の楽しさですよね。

 たとえば第三歌集の『チョコレート革命』は恋の歌が多かったんですけど、「本当は書かれているような恋をしてないんじゃない?」と疑われるより、「こんな恋愛をしたのね」と捉えられたほうが、作品として成功だと思います。

<後編につづく


あなたの《三十一文字》を募集します。お題は「愛」

今回の短歌特集はいかがでしたか?私も一首詠んでみた!という方、作品をぜひ『婦人公論』までお送りください。優秀作は2024年7月発売号にて発表します。選考委員は、本特集でアドバイスをしていただいた歌人の俵万智さん。あなたの思いをのせた《三十一文字》を、ふるってご応募ください

《応募要項》
■お題 「愛」
■締切 2024年3月29日(金)必着
■選考委員 俵万智(歌人)
■応募方法 自作の短歌(1通3首以内)、郵便番号、住所、電話番号、氏名、年齢、職業、性別を記入のうえ、以下のフォームからご応募ください
■選考結果 『婦人公論』2024年8月号(7月15日発売号)でご紹介します
※掲載作品には薄謝を進呈します

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