柴田さん「遠く離れていても、できることはいくらでもある」(写真:本社写真部)
内閣府発行の「令和4年版高齢社会白書」によると、介護保険制度にて要介護または要支援の認定を受けた65歳以上の人は、655.8万人におよぶそうです。そのようななか「親の介護はある日突然やってきます。私の場合もそうでした」と語るのは女優の柴田理恵さん。富山で一人暮らしをする柴田さんのお母さんは、骨折や病気で、病院と介護施設を出たり入ったりしているそう。柴田さんは、「遠く離れていても、できることはいくらでもある」と言っていて――。

コロナ禍の「遠距離介護」

母が介護施設から自宅に帰った2020年3月は、世界中をパニックに陥れた新型コロナウイルスの大流行が、まさに日本でも始まろうとしていた時期でした。

コロナの前までは、お盆とお正月、それにおわら風の盆の年3回に加え、何とか時間をつくって月に一度は富山に帰り、母のサポートをするようにしていました。

それがコロナの流行後は、感染防止のため病院や介護施設での面会は不可能になり、そもそも東京から地方へ行くこと自体が憚(はばか)られるようになりました。

多くの人たちがコロナで帰省が困難になり、なかなか親の顔が見られないという状況を強(し)いられたわけです。

私の場合もまさにそうで、コロナの流行後に、母の様子を見に富山へ行くことができたのは、母が自宅に帰っていた2021年と2022年のお正月の2回だけです。

そのときは久しぶりに母と一緒にお酒を飲むことができて本当に楽しかった。母もとても喜んでくれました。

ただし、コロナ禍(か)の帰省には大きな代償が伴いました。私がPCR検査で陰性でも、私が母と会うと1カ月間は介護サービスを受けられなくなってしまうのです。もちろん介護施設にも入れません。

感染防止のためには致し方ない対応とは理解していましたが、正直なところ、要介護の状態にある人などはコロナウイルスではなく、孤独という名の恐ろしい負のエネルギーのために、かえって具合が悪くなってしまうのではないか、そんなことさえ思いました。