離れていてもできることはある

私たちには「人間、誰しも年を取れば、程度の差はともかくボケてくる」といった誤解があります。母が着替えなくなった際も介護の現場では認知症を疑う声があったようです。

でも母がそうであったように、お年寄りの気になる言動には何かしら理由があるかもしれないのです。それに気づいて適切に対処するには、ケアマネジャーさんなどとの密なコミュニケーションが不可欠なことに改めて気づかされました。

たとえば、あえて1週間のうち1日は母が一人でいる時間をつくったのですが、その1日にデイサービスを入れて、それまで2日だったデイサービスを3日にしたことがありました。

このときも母との電話の中で「1回増えたら、疲れるのよ」と言われ、初めて「ああ、そうなんだ」と気づくことができました。でも、母はそのことをケアマネジャーさんには言えずにいたわけです。

そこで私はちょっと調べて、訪問看護師さんに頼めば、背中だけマッサージしてくれたり、足だけを温めてくれたりするというのがわかったので、ケアマネジャーさんに、「訪問看護師さんを頼むのはどうでしょうか?」と提案してみました。

すると、「週3回のデイサービスが疲れるなら、そうしましょう」とすぐに手配をしてくださいました。2022年の1月のことです。

遠く離れていても、できることはいくらでもあるのです。

※本稿は、『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(祥伝社)の一部を再編集したものです。


遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(著:柴田理恵/祥伝社)

要介護の母を持ち、遠距離介護を実践中の柴田理恵さんが3人の専門家に聞いた――!
これから介護に直面する人に必ず役立つ“知っておきべき&やっておくべき”こと!!