打算抜きで人を好きになれることは貴重

あるドラマで、大人になって打算抜きで人を好きになれることは貴重、という主旨の発言があったが、本当にその通りだと思う。お金という明確な利害がある中で、どうしても出会う人を、付き合うと得になる人か?という目で見てしまう瞬間がある。

前に同業者が集う懇親会に参加した時、あちこちで名刺交換が行われる中、会場全体には浮ついた独特の空気が流れていた。限られた時間の中で、できるだけ効率よく今後に繋がる出会いをしたいから、長話をする時間もない。

写真提供◎AC

笑顔で近づいて行っても、名刺に目を落とした途端、早く切り上げたいという空気を露骨に出す人もいた。その人がどんな性格で、どんな人柄で……そんなことより、どんな規模の会社でどんな仕事をしていて、付き合うとメリットがありそうか?をまず見る。これが大人になるということなのか、と自分で自分が嫌になる。

もちろん、学生の時だって、スクールカーストが上の人にこびへつらう人は確かにいて、どの子といればクラス内での自分の立ち位置が保てるか?なんていう打算的思考はしっかり働くものだから、子どもだって純粋な付き合いができるとは限らない。

それでも、誰かを好きになる、仲良くなる前に、やはり損得のフィルターがかかって、自然と外面を見てから内面を見るようになる。それが大人というものなのかもしれない。