グレーゾーンチェック(3)時計描画テスト

もう一つ、認知機能のテストをしてみましょう。

医療機関で行う認知機能検査にも含まれているテスト法ですが、とても簡単です。紙とペンを用意して、時計の絵を描いてみてください。

認知症グレーゾーンでも、かなり認知症に近づいている人は、目(視覚)から入った情報を処理し、空間の全体的なイメージをつかむ機能(視空間認知能力)が大幅に低下しています。

視空間認知能力を調べるには、時計を描いてもらうとすぐにわかります。「10時10分の時計を描いてください」と指示すると、認知症グレーゾーンや認知症の方は、次のような図を描きます。

MCIテスト「時計描画」の回答例<『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』より>

時計の輪郭を丸く描けなかったり、1から12の数字を均等に描けなくなったりするのが特徴です。こうした傾向が見られたら、必ず専門医を受診してください。

余談ですが、『グッド・ドクター 名医の条件』というアメリカのドラマでも、この「時計描画テスト」が取り入れられていました。

患者は認知症ではありませんでしたが、胸の腫瘍から生じたたんぱく質が脳におよび、抑制力を失わせたのです。そのとき、ドラマのなかで患者が描いた絵も、やはり数字を均等に描けていませんでした。

※本稿は、『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(アスコム)の一部を再編集したものです。


認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(著:朝田隆/アスコム)

じつは認知症は、長い年月をかけて認知機能が低下し、発症する生活習慣病のひとつ。認知症を発症する20年も前から、脳の変化は始まっています。

まだグレーゾーンにまでは至らない方や、40代、50代の方にとっても、この本がいつまでも若々しい脳を保つために役立ちます!