思わぬ事態

そんな事態が大きく動いたのは、予想もしていなかったことからでした。

夏に気温が高くなり、ご近所から譲さん宅から悪臭がすると役所にクレームが入ったのです。一人住まいを把握していたので、福祉の人と行政が訪問。すると家の中から熱中症気味で意識が朦朧としている譲さんが出てきたのです

すぐに救急車が呼ばれて、譲さんはレスキューされました。お嬢さん二人にも連絡がいき、結果としてゴミ屋敷が知られることになりました。

救急隊も「これ以上ゴミが増えていたら、ご本人も玄関まで出ることができず、せっかくの訪問も留守で片付けられてしまったかもしれない。強運でしたね」と逆に褒めてくれたほどです。

病院に搬送され、譲さんは有料老人ホームに入所することを決めました

病院に搬送され、譲さんは有料老人ホームに入所することを決めました(写真提供:Photo AC)

「庭いじりが趣味ならいいが、年をとると大きな一戸建ては持て余すだけ。ゴミ出しひとつがストレスになってしまい、自分でもどうしていいのか分からなくなってしまった。本当はもっと早くに引っ越せば良かったのだが、荷物を処分しなければと考えるだけで億劫になってしまった。高齢になると、身軽になるのがいちばんだと実感した」

譲さんは、自分で家を片付けることはできないと断念。必要最小限の物だけを持ち出し、あとは全て業者に片付けてもらいました。