そのお母さんが「繁子さん、ありがとう。あのときは、話を聞いてもらっただけですっきりしたんです」と言ってくれて、コロナ自粛のさなか私も少しは役に立てたんだ、とホッとしました。

最近では、近所の小学生が放課後に「絵本、見せて!」ってやってくるの。夢中になって読んだり、お絵かきしたりしている姿を見ると、私も元気をもらえるから不思議。こんなところも自宅を公開する醍醐味なんじゃないかしら。

いつもは、特に何も気を使わず自然体で過ごしているけれど、一つだけ注意しているのが、防犯面です。開館日には、必ず誰かに来てもらうようにしています。娘のときもあれば、ボランティア活動の仲間や近所のお友だちのことも。

読書会や講演会など大勢が集まるときは、複数の男性に応援を頼んで。長く続けたいからこそ、セキュリティについては用心しておきたいの。

これまで自宅文庫のほかに、読み聞かせのボランティアなどに取り組んできました。幅広く活動しているように見えるけど、私はただきっかけを作っているだけ。

ここで出合った一冊を通して人生や子育てに生かせる大切な何かに気づいてほしいの。絵本は世界の入口だから。今は大人が読んでこそ面白いものがたくさんあるので、先入観を持たず絵本に触れてみてほしいです。

私は今、81歳。100歳まで生きるつもりだから、残りは19年!「ゆめのき文庫」での出会いを大事にしながら、体力のある限り絵本の読み聞かせを続けるつもりです。保育現場に豊かなゆとりが生まれ、子どもたちが健やかに育まれることを願って。