社会参加と運動がポイント

うつっぽいなど、メンタル面の不調を抱える人も多いですね。薬の力を借りたほうがいい場合は、軽い抗不安剤や睡眠導入剤を頓服で処方します。

専門医によるカウンセリングが必要な場合はそうアドバイスすることもありますが、なかには、診察の際に短時間話しただけでも気持ちが軽くなったという方もいます。

大事なのは、社会と接点を持つことと、体を動かすこと。具体的に何をしたらいいかわからない場合、たとえば、近隣の子ども食堂の調理補助とか、保護犬や保護猫の活動とか、人手を必要としているところでボランティアを始めてみたりするのはどうでしょうか。

運動も、本格的なものでなくてもいいのです。私のおすすめは、ゲームセンターにあるエアホッケー。動く範囲は限定的だし、ケガの心配も少ないわりに、10分程度でけっこう汗をかく。何より夢中になれるので、これはいいなと思っています。

私はよく「人生のかきくけこ」を大事にしようとお話しするんです。「感動する」「興味を持つ」「工夫をする」「けなげに健康に生きる」「好奇心を持つ・恋をする」ということですが、このなかの2つくらいを毎日意識できるといいですね。

なにも難しく考える必要はありません。最近、私がハマっているのが、鰹節削り。シュッシュッという音と香りに感覚を刺激されながら、うまく削れると嬉しくなる。せっかく削ったのだからと、おだしをとったりほうれん草のおひたしにかけたりして食べる。この程度のことでも「工夫する」「けなげに生きる」を実践している気がします。

気負いすぎると疲れますから、面倒くさいときは「年だからしょうがない」と逃げていいんです。

鏡で自分の顔を見てニコッと笑えるようだったら、「今日は元気だから外に出て日光を浴びてみようか」というくらいのスタンスで、自分の体調を管理する。それで十分じゃないかと思います。