第1回「書店員が選ぶ絵本新人賞」で大賞を受賞したのは、元小学校教諭のただのぶこさん、76歳。物語のタネは、これまで出会ったたくさんの子どもたちや、なにげない家事の時間にたくさん転がっている、と語ります(構成=篠藤ゆり 撮影=洞澤佐智子)
孫が「ばぁば、すげえ」と言ってくれた
受賞の知らせがあったのは、家で掃除をしているときでした。68歳から、毎年絵本の賞に応募を続けて約7年。もうびっくりして、次の瞬間、涙が出てきました。
贈呈式には、兵庫の自宅から夫と一緒に上京しました。普段こういう場に出る機会がないので、突然知らない世界に飛び込んだ気分(笑)。私には孫が4人いるのですが、中学2年になる男の子が、「ばぁば、すげえ」と言ってくれたのが、一番のご褒美ですね。
私は絵を専門的に勉強したことはありません。最初に絵本をつくったのは、長女が2歳のころ。夜になると「絵本のんで(読んで)」と本を抱えてくる娘のために、彼女を主人公にした絵本を描いてあげよう、と思ったのです。
踏んだ落ち葉が足の裏にたくさんくっついて、どんどん背が高くなる女の子のお話とかね。いまもうちにあります。でもそのうち子育てが忙しくなり、絵本どころではなくなってしまいました。