キリスト教会という記号

世界の地図には必須のキリスト教会という記号も、かつての地形図には存在した。

戦前には「西教堂」と称して十字架をイメージした+印で表記され、「昭和30年図式」にも「キリスト教会」として残っていたが、記号が大幅に統廃合された「昭和40年図式」で廃止された(後の1万分の1地形図で復活、現在は更新されず)。

日本のクリスチャン人口が約1パーセントと少ないことの反映だろうか。もちろん著名な教会については固有名を記載するため、特に隠れキリシタンが多かった長崎県の五島列島や熊本県の天草諸島エリアの地形図には津々浦々に教会名の表記が目立つ。

神社の話に戻るが、かつては神社とは別に「鳥居」という記号もあった。

かつては神社とは別に「鳥居」という記号もあった<『地図記号のひみつ』より>

神社の記号そのものが鳥居の側面形なので混乱するかもしれないが、こちらは鳥居を上から見た形である。

具体的には串の両端近くに小さな団子を1個ずつ刺したような形で、平面形であることを説明されれば納得できるかもしれないが、そうでなければ謎の記号だろう。

鳥居の記号は「昭和40年図式」で廃止されたが、神社の風景を再現するのにとても役立つ記号だった。

まず神社の入口がどこかが一目でわかるし、社殿から離れた「一の鳥居」や「二の鳥居」が道路を跨ぐこの記号で表現されていれば、参道がどこを通っていたかも明瞭だ。お稲荷さんのように朱塗りの鳥居が密集した場面など、数こそ忠実でないものの、様子が手に取るようにわかる。

今では境内がマンションや幼稚園に変貌してすっかり規模が縮小されてしまった神社の、広かった昔の姿が再現できるのもこの記号ならではのメリットだろう。