現役時代から今も続けている謎の行動
私もおかしくて、最初はキャッキャ笑っていたけれど、何を話しかけても返事がない。さすがに長々とお芝居を続けているのでイライラしてきて、
「何それ、つまんない」と私。
それでも瞬き一つせずに動かない男、元木。
なんなんだこれは…。
憮然としてテレビ画面を見たら、パッ!と時刻が進んだ。「11:12」だ。
その瞬間なんの説明もなく言い訳もなく、元木は何食わぬ顔で話を続け始めた。
「…ってめっちゃ気に入ったんで、どこで売ってるのか聞いてみたら」
いや、理由を言わんか。
なんでフツーに話を再開させとん!?
その後もそんなことが何度か起きて、何回か目に私はこの「11:11」が関係しているのだということに気がついた。「11:11」の1分間は絶対に動かない、喋らない、そう決めているらしい。
なぜか?というのを元木はここまで一言も語らない。現役時代からずっと続けている、自分だけの験担ぎなのだろう。いったい何があったというのだ、11:11。現役時代から今でも続けているとは…私はふざけてわざと見せることもしないし、気がついた時は「もうすぐ11:11だよー」と教えてあげれば、その時だけフイッとその場から離れたりしている。とにかく、「11:11」の文字を見てはいけないのだと思う。
美味しいオヤツを隠すには、この1分間なら間違いなく動けなくて追っかけてこられないはずだ、しめしめ。