こうなったらなんとしても月の沈む瞬間をこの目で見届けて、スーパームーンの最大サイズを拝みたいものだ。そしてその決定的瞬間をスマホに収めよう!
この決意の顚末はさておいて、ときは一ヶ月を経て、中秋の名月の数日後。まだ満月の名残をじゅうぶんに留める頃だった。明け方に目が醒めた。
時刻は六時半。すでに地平線のかなたへ落ちたあとだろうと半ば諦めつつ、ベッドから這い出して空を見上げると、なんとまだ月が高層ビルのさらに上方で、すでに明るくなった空の中にポンと浮かんでいるではないか。
まだ、そんなとこにいたの?
なぜそれほどに驚いたか。つい一ヶ月前、スーパームーンが午前四時半過ぎに富士山の裾野へ少し赤みを増しながら静かに沈んでいったのを目撃していたからだ。あれからたった一ヶ月で月没の時刻と位置はこれほどまでに移るのか。
ちなみに月は富士山からさらに三十度ほど西の方角へ沈もうとしている。