ふと思いついた。日の出・日の入り時刻というのは検索できるが、月の出・月の入り時刻は公表されているものなのか。

スマホをポチポチする。すると、国立天文台のHPに「各地のこよみ」と称して都道府県庁所在地の日の出・日の入り、のみならず、月の出・月の入りの時刻がカレンダーになっていることを知った。なんだ、そうだったのか。

さっそく「東京」で検索し、二〇二三年十月の「月の出入り」を調べると、驚いた。日の出・日の入りは毎日、一分ずつほどずれていくのに対し、月の出・月の入りは、一日でほぼ一時間も変わるのである。

つまり、八月末のスーパームーンの入りが午前五時前だったのに対し、九月末の「中秋の名月」は六時六分。さらに翌日の十月一日は七時十八分になっている。だから昼間に月が上がっていることもあるのか。

月がこれほど自在に動き回っていたとは知らなんだ。月の姿を見つけるのが難しいわけだ。まるで大海原にイルカの姿を探すかのごとし。

さて今夜はどこでお月様に出会えるかしら。


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