脳の「記憶センター」と「警報センター」

脳の「記憶センター」は海馬と呼ばれ、そのすぐ前に「警報センター」の扁桃体があります。その2つが前後に並んでいるのは偶然ではありません。

扁桃体が警報を鳴らすたび、「この状況は重要だから覚えておかなくては」というシグナルが海馬に送られ、「高解像度で鮮明」な記憶がつくられるのです。

わいた感情が強いほど、特にそれが恐怖やパニックだと、記憶にはっきり残る確率が高いでしょう。

あまりうれしいことではありませんが、忘れたい記憶こそが脳にとっては重要であったりするのです。

 

※本稿は、『メンタル脳』(新潮社)の一部を再編集したものです

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メンタル脳(著:アンデシュ・ハンセン, マッツ・ヴェンブラード 翻訳:久山葉子/新潮社)

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