「障がい児・者の親の会」との出会い
息子が障がい児となって3年ほどは、元に戻るかもという希望を捨てられませんでした。こういう病院に行ったら治るんじゃないか……と、一生懸命あれこれ動いていました。
そんな私の考え方が変わったのは、「障がい児・者の親の会」との出会いでした。お母さん達がとてもたくましく明るくて、驚くほど前向きなのです。障がいを持つ子どもを「1人の人間として育てたい」という思いが伝わってきて、この人たちと一緒にがんばりたいと思いました。
あるとき、「何度も線路に飛び込もうと思ったのよ」という話を聞きました。私も息子が入院しているとき、病院の一番上の階から下を見て、「この子を抱っこして飛び降りたら楽になるかも」と思ったことがあります。
そうしたら、他にも「私も」「私も」と言う人がいっぱいいて。私だけじゃなかったんだ。それがわかっただけでも、とても救われた気持ちになりました。「仲間がいる」のはとても心強いものでした。
母親代わりとして私をずっと見守ってくれた4番目の姉に、「この子は福祉の世界で育てなさい」とはっきり言われたことも大きかったです。
それまでの私は、息子の病気を受け入れられずに悶々とし、「あの先生が悪い」「もっといい薬があるはず」「なんで私がこんな子どもを育てないといけないのか」と、嫌な気持ちにとらわれていました。姉の言葉に、ハッと目が覚めました。
同じ時期に参加した福祉の講演会で、「障がいを持っていることを認め、早く新しいスタートを切りましょう」と言われたことも、胸に響きました。
私はようやく、息子のことを受け入れることができました。「病気の子どもと一緒に生きていこう」と覚悟をしたら、不思議と泉のように元気が湧き出てきたのです。3年もかかってしまいましたが、私にとって必要な時間だったのだと思います。