筆者の関容子さん(左)と

後シテの天鼓が嬉々として鼓を打つと、そのたびに髪の毛が揺れて、何だか美しい詩を読んでいるような、ゆるやかな弦楽四重奏を聴いているような、そんな気分になります。

――まさにお能はそうやって観ていただくものなのです。想像力をたくましくして、ゆったりと浸っていただければと思います。『天鼓』はこの5月に三郎太が観世能楽堂で演じますよ。

能と歌舞伎と言えば、お若い(市川)團十郎白猿さんもお能に興味をすごく持っておられて、一昨年のご自身の襲名記念公演を歌舞伎座で上演される折、「舞台を清めるような、寿ぐような謡いが何かありますか?」と尋ねられて。「『翁』の謡『神歌』があります」と言ったら、「ぜひそれをやってください」と目をキラキラ輝かせておられました。非常に爽やかでしたね。

近年の活動としては、私は本来はアマチュアの稽古はしないのですが、東京藝術大学の授業には若葉マークのプロの卵の育成ということで客員教授として教鞭を取っております。またこの観世能楽堂でも中央区の後援をいただいて、子供の能楽教室を開いております。小さいお子さんが謡い、仕舞の稽古をいたしまして、最後にはこの本舞台で発表会をやっております。