シャキシャキ歩いて強度アップ!

私たちが歩くとき、自然と「体の振り子」を利用しています。

脚を振り出すときは、振り出す脚をぶら下がった振り子にし、蹴り出すときは、棒が前に倒れるように、体を前に倒す、倒立振り子の揺れを利用しているのです。歩いているときというのは体という振り子の持つ揺れに自然と合わせているため、歩行動作というのは実はとても効率がよい動きなのです。

振り子の揺れ自体はエネルギー消費「ゼロ」であり、その揺れを存分に利用して、自然の速度で歩いているとき、実は私たちはエネルギー消費を抑え、ラクに進んでいるわけです。

しかし図のとおり、普段の歩きよりも速くすればするほど、この振り子の力に頼れなくなるので、ぐんと運動効果が上がるのです。

たとえば通常歩行の70m/分を1・5倍のスピードに上げたとします。やや足早にシャキシャキ歩くくらいでしょうか。

この場合、エネルギー効率は1・6倍ほど落ちます。これは、同じ距離歩いた場合のエネルギー消費が1・6倍になるということ。そして歩くスピードが1・5倍ですから、おおよそ1・5×1・6で、なんと約2・4倍の運動の強度ということになるのです。

図:歩行速度とエネルギー効率(《出典》Leeら、2012より改変 歩行速度とエネルギー効率(『学術的に「正しい」若い体のつくり方』より)