椅子での「よいしょ!」

分かりやすい例として、まず椅子からの立ち上がり動作で説明しましょう。

椅子から立ち上がるときは、必ず一度お辞儀をするように上体を前にかがめてから立ち上がります。そして体を起こす前に、自然と私たちはそれと反対の前にかがむ動きをとるのです。これこそが「反動」です。

前にかがめる下向きの力を筋肉、腱のバネ作用で上向きに返すため、スッと体を起こして立ち上がることができます(絵)。

絵:反動を使った椅子での「よいしょ!」(『学術的に「正しい」若い体のつくり方』より)(イラスト:イシダマサコ)

バネを使った反動動作のポイントは、お辞儀をしてから体を起こす動作へと「動きを切りかえす瞬間」にポンと力を出すことです。「よいしょ!」という声が出ることがありますが、切りかえしで強い力を発揮するときに、つい声が出るのです。

ですから、「よいしょ!」は、反動を使った動きでうまく力を発揮するためのかけ声といえます。年寄りくさいと思わないでください。むしろその声こそ、活動的に体を動かせている証拠。「よいしょ!」をどんどん使っていただきたいと思います。

試しに、この反動動作を少し大げさにして立ち上がってみてください。反動をバネにしてすっと立ち上がるという感覚がよくお分かりになるはずです。

※本稿は、『学術的に「正しい」若い体のつくり方』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。


学術的に「正しい」若い体のつくり方』(著:谷本道哉/中公新書ラクレ)

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