俳優であり歌手でもあった

俳優であり歌手でもあったけれど、どちらも自分から望んでなろうと思ったわけではなく、決して心から楽しんでいたわけではないと、近くで見ていて感じたことがあります。

裕次郎さんは、1958年に『わが青春物語』という自叙伝を出版しています。それによると、20代のときから、なにかというとビール。レコーディングのときも、ヨットでも、けんかをした後もいつもビール。本当にビールを飲むのが好きだったみたいです。

俳優も歌手も、目指してなったわけではないのに、どんどん有名人になっていったんですから、運命ですよね。

もとはと言えば、兄の石原慎太郎さんが小説『太陽の季節』を書いて芥川賞をとったために、これを原作とした映画ができて、弟の裕次郎さんがプロデューサーの水の江瀧子さんにスカウトされ、俳優の道を歩むことになったわけですが、それも含めて運命だったという気がします。

ビールを飲まなくてはやっていられないほど、シャイだったのかもしれません。
海、ヨット、ハワイ…。傍から見ると、満ち足りた生活のように見えますが、どうだったんでしょうね。

石原裕次郎さんとのお付き合いを通して、渡哲也さんとも親しくさせていただきましたが、渡さんも残念ながら他界されてしまいました。
天国でボスの裕次郎さんとまた仲良く語り合いをしているのが目に浮かびます。

※次回は「五木ひろしが語る~~昭和歌謡史(8)」をお届けします。