紫式部として『源氏物語』を書くことになるまひろ(吉高由里子)は、互いの素性を知らないまま、のちの藤原道長である三郎(柄本佑)との仲を深めていく。大河ドラマ『光る君へ』は毎週日曜夜8:00より放送中(写真提供(c)NHK)

 

道長との関係については、『源氏物語』を書く前に「知り合いではなかった」という明確な記録がない以上、知り合っていた可能性もある。2人が少年少女期に出会っていたら、相手が親の仇だったら……などと考えているうちに物語が動き始めました。

皆さんもご存じの通り、紫式部は1000年以上読み継がれる物語を生み出した人。1964年にユネスコが「世界の偉人」を表彰した際、日本人でただ一人選ばれたのが紫式部です。

日本では多くの人が、『源氏物語』を「男女が寝たり起きたりしているだけのロマンス小説」と捉えていますが(笑)、世界でいまも研究が重ねられるほど評価されているのは、時の政権批判や文学論、下級貴族の娘として苦労するなかで培われた人生哲学などが、物語の端々に盛り込まれているからでしょう。

勉強や取材を重ねるうちに感じた彼女の魅力やこの時代の面白さを、1年かけて描いていこうと思います。