娘を大事にしてくれる男性を探して

まるで披露宴会場のようなホールに並べられたテーブル。それを囲むように、6~8人の中高年の男女が真剣な眼差しで熱心に会話している。手にしているのは封筒。中には娘や息子の写真付きの身上書が入っており、親同士でご縁がありそうだと思えれば、その身上書を交換する。それを見た子どもが気に入ると、本人同士がデートにこぎつけるのだ。この「代理婚活」を主催する一般社団法人「良縁親の会」は2005年にスタートし、これまで延べ3万人以上の親たちが参加している。

2年前から営業事務職員として働く長女(38歳)の結婚相手を探すために、13回ほど出席してきた主婦の皆川和子さん(69歳・仮名)は次のように話す。

「親同士が婚活するなんて、バカみたいだと思っていました。しかし本人同士が交際していても、相手の家族のことは深くはわからない。母親同士で話をするほうが、いろいろな事情を知ることができます。娘にとっては姑になる人ですから、安心して結婚させられるかどうか、判断できるのです」

皆川さんの長女は、「生まれたからには子孫を残したい。女性として結婚も出産もしたい」と考えているという。過去には結婚相談所を介して出会った男性と何度かデートを重ねたこともある。しかし、その時はそれ以上の関係には発展しなかった。そんな時、たまたま代理婚活をしていた友人が、皆川さんに会へ参加しないかと声をかける。

「娘は代理婚活を嫌がるかと思っていたら、特に反対することもなく、私が持ち帰った身上書を見ています。代理婚活をするのは過保護だと思いますが、娘が結婚を望んでいるのなら親が相手を探すのは、昔でいうお見合いの代わりですよ」