でもね、なんだかとても面白そうに、楽しそうに言っていたんですよ。だから、いい感じで逝ったのかなあと思います。
平等院のご住職が「この世で仲の良い人、大切な人をたくさん作っておきなさい。そういう人たちがみんなで迎えに来てくれますから」とおっしゃっていたとおり、夫には迎えに来てくれる人がいっぱいいたんですね。
私は自分のときには両親も誰も来なくていいわ、と思いながらご住職の説明を聞いていたんですけど、私のことはきっとおとうさんが迎えに来るんだろうなあ、と思います。
この欠落感がずっと続くかは、この先、生きてみないことにはわかりませんが、まずは持てる力を振り絞って大河ドラマを書き上げ、しみじみするのも休むのもそれから、と考えています。
大石静
脚本家
東京都生まれ。1986年にテレビドラマの脚本家としてデビューして以来、オリジナル作品を中心に多数のテレビドラマの脚本を執筆。97年に連続テレビ小説『ふたりっ子』(NHK)では第15回向田邦子賞と第5回橋田賞、2011 年に『セカンドバージン』(NHK)では東京ドラマアウォード脚本賞、20年に文化庁長官表彰、21年にNHK放送文化賞を受賞、さらに同年に旭日小綬章を受章。これまでの執筆作に大河ドラマ『功名が辻』(NHK)、『家売るオンナ』『知らなくていいコト』(日本テレビ)、『長男の嫁』『大恋愛~僕を忘れる君と~』(TBS)、『アフリカの夜』『愛と青春の宝塚』(フジテレビ) 、『あのときキスしておけば』『和田家の男たち』(テレビ朝日)、『離婚しようよ』(NETFLIX/宮藤官九郎氏との共同脚本)など。24年はNHK大河ドラマ『光る君へ』、25年はテレビ朝日『しあわせな結婚』の脚本を担当し話題となった