節制しても寿命が一年延びるだけ、好きに暮らすのが体にいい

私は長年、高齢者医療に携わってきました。その感覚からすると、60代以降に色々な節制を心がけたとしても、寿命はせいぜい85歳が86歳になるという程度でしょう。

たった1~2年寿命を延ばすために、ストレスの多い節制した暮らしを送ることに納得できるでしょうか。私はできません。

こんな例があります。80代のAさんは、タバコが大好きでしたが、82歳で肺ガンの宣告を受け、家族にタバコを禁止されました。

それでも、Aさんは「どうせガンで死ぬんだから」とまた、タバコを吸い始めました。それから実に10年、毎日「うめえなぁ」とタバコを吸い続け、最後は肺ガンではなくクモ膜下出血で亡くなったのです。

自由がもたらす精神的安定は、健康に直結しているものなのです(写真提供:Photo AC)

自分の楽しみを優先したおかげで、Aさんの免疫機能は上がり、ガンの進行が遅くなったのでしょう。これほど、自由がもたらす精神的安定は、健康に直結しているものなのです。