内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上のひとり暮らしの人口に占める割合は、令和2年には男性15%、女性約22%と年々増加傾向にあるのだとか。そのようななか、6000人の死に立ちあってきた高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生が語る「ほんとうに幸せな暮らしかた」とは。和田先生いわく、「老いていくということは、ひとりになっていくということ」だそうで――。
誰かに支配される人生で終わっていいのか
老いていくということは、どんどんひとりになっていくということです。
たとえば家庭を持っても、子どもたちは家を出て行き、夫婦だけの暮らしになります。そして、その先、配偶者が亡くなれば、自分ひとりになります。
仕事の一線から退けば、同僚も部下もいなくなります。新しい仲間や友人に恵まれたとしても、同世代は高齢になるにつれてひとりずつ欠けていくことでしょう。身構えたところで、有無をいわせずひとりはやってくるのです。
現在、男女ともに生涯未婚率が上昇しています。その理由の一つは「ひとりは当たり前」とみんな気づき出したことにあると思います。
自分の世界に満足し、そこで自立して暮らしている人たちも、ひとりは当たり前ということを知っている人たちです。
幸福は主観的なものです。あなたが幸福だと思えばそれが幸福だということです。誰かにしばられ、支配される人生では、充足は困難です。
ひとりでもできること、ひとりだからこそ楽しめることをいくつも知っている人は、やりたいことがいつもあって、退屈しないで暮らしています。