1978年から89年まで司会をつとめた歌番組『ザ・ベストテン』も生放送でしたから、ハプニングは多かったですね。今だったら「放送事故」とか言われて、炎上してしまうようなこともありました。
相方の久米宏さんとは、放送中にわりと忌憚なく政治の話題にも触れました。私が「久米さん、TBSのアナウンサーだからちょっとまずいんじゃない?私が言うわよ」と言うと、「大丈夫です」と言っていたけど、さっさと退社してフリーになって『ベストテン』をやっていました。
私たち、ロッキード事件の話なんかもしましたけど、今だったら歌番組で政治ネタは難しいでしょうね。当時はテレビの自由度が、今より高かったなと思います。
テレビ黎明期から生放送で鍛えられたことは、ユニセフ(国連児童基金)の活動をするようになっても活かされました。戦争や天災、飢餓に苦しむ地域へ子どもたちを訪ねていくので、近くに地雷原があるような場所もありましたし、トラブルに巻き込まれて「あぁ、もうダメかもわからない。ここで死ぬのかな」と思ったこともあります。
でもそんなとき、「あれだけ私は本番を乗り越えてきたんだし」と思い出すと、「大丈夫、なんとかなる」と前向きになれました。