運とは、自ら動くことでつかむもの

昔ある人に「加藤、運っていうのはな、自分の体をその場所に運ぶってことなんだ。だから動いたら動いただけの出会いがあって、それが自分に返ってくるんだぞ」と言われたことがあります。これは本当で、運というのは自ら動くことでつかむものだと強く実感しています。

『メンズノンノ』との縁もそうでした。当時『メンズノンノ』は『ノンノ』増刊号として出版されていましたが、僕は「いずれ単体で刊行されるのではないか」と予測したのです。そこで「もしも創刊号が作られることがあったら、ぜひオーデションに呼んでください」と編集部に電話をかけて売り込んだところ、一人の編集者さんとお会いできることになりました。その後、実際に創刊が決まった際に「まだ他の雑誌に出ていないフレッシュさがいい」と僕を選んでくださったのです。

1987年にパリコレに挑戦した時も、飛行機代や滞在費用を含め最低でも100万円ほど必要だったので悩みましたが、一度は世界最高峰のコレクションに出てみたかった。現地でエージェント探しから始め、その結果、2つのショーに出演することができました。しかし、当時は身長180センチ後半で筋肉隆々のモデルが主流だったため、それより低い自分の身長では一生モデルを続けるのは難しいと感じ「これを最後にモデルは辞めて、身長や体格は関係ない役者という表現者の道に進もう」と考えました。

運が悪いとか出会いがないと思っている人は、自ら動くのはもちろん、その際にちょっと行動範囲を変えてみることをおすすめします。今まで行ったことのない場所に行ってみるとか、自分とは合わないと思っている人と交流してみるとか。ふだん自分が生きている世界だけでなく、別の世界にまで範囲を広げることで思わぬ出会いやヒントが得られることがあります。

「運と言うのは自ら動くことでつかむものだと強く実感しています」(写真撮影◎本社 奥西義和)

 

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