起承転結を意識していた
──オープニングでは常に5分とか10分よどみなくしゃべっていたじゃないですか。あれはどのくらいの事前準備があったんですか。
実は事前の原稿なんかは用意していません。しないほうがいいとすら思っています。
子供の頃、吃音を治す過程で、作文を書くときに必要な起承転結が、しゃべりにも必要だっていうのに気がついたんです。しゃべることは作文だというふうに思ってたから、文章構成をしてしゃべるみたいなところがあります。
僕のスポーツ中継って行き当たりばったりしゃべってはいますけど、一方で、全部作文みたいな感じでしゃべっているんですよ。でも、予定稿ではあんまりしゃべりたくないので、その場で見たものを一応、頭の中で文章化したうえで口に出すみたいな感じで。
──それを事前に文字に起こすわけではないんですね。
頭の中で起承転結をイメージしておくだけ。新人のアナウンサーと一緒に仕事をすると、彼らは原稿を用意したうえで、さらに赤字を加えたりとか、しゃべることを書きだしたりとかって準備してるじゃない? 「そういうのは、やめたほうがいいよ」っていつも言ってたけどね。「なるべく書かないほうがいいよ」って。