運とは、自ら動くことでつかむもの
昔ある人に「加藤、運っていうのはな、自分の体をその場所に運ぶってことなんだ。だから動いたら動いただけの出会いがあって、それが自分に返ってくるんだぞ」と言われたことがあります。これは本当で、運というのは自ら動くことでつかむものだと強く実感しています。
『メンズノンノ』との縁もそうでした。当時『メンズノンノ』は『ノンノ』増刊号として出版されていましたが、僕は「いずれ単体で刊行されるのではないか」と予測したのです。そこで「もしも創刊号が作られることがあったら、ぜひオーデションに呼んでください」と編集部に電話をかけて売り込んだところ、一人の編集者さんとお会いできることになりました。その後、実際に創刊が決まった際に「まだ他の雑誌に出ていないフレッシュさがいい」と僕を選んでくださったのです。
1987年にパリコレに挑戦した時も、飛行機代や滞在費用を含め最低でも100万円ほど必要だったので悩みましたが、一度は世界最高峰のコレクションに出てみたかった。現地でエージェント探しから始め、その結果、2つのショーに出演することができました。しかし、当時は身長180センチ後半で筋肉隆々のモデルが主流だったため、それより低い自分の身長では一生モデルを続けるのは難しいと感じ「これを最後にモデルは辞めて、身長や体格は関係ない役者という表現者の道に進もう」と考えました。
運が悪いとか出会いがないと思っている人は、自ら動くのはもちろん、その際にちょっと行動範囲を変えてみることをおすすめします。今まで行ったことのない場所に行ってみるとか、自分とは合わないと思っている人と交流してみるとか。ふだん自分が生きている世界だけでなく、別の世界にまで範囲を広げることで思わぬ出会いやヒントが得られることがあります。
舞台 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』
あらすじ
時は1937年。日中戦争が泥沼化する中、神津恭介と松下研三が通う第一高校には優秀かつ個性的な学生たちが数多く在籍している。ある時、彼らの寮を一人の女性が訪ねて来る。意外にも普段女っ気のない妻木という学生に会いに来たのだった。妻木と女は連れ立って去って行くが、同じく同級生である飯嶋と青野がその女を知っているらしい反応を見せたことを、神津は訝しく思う。その日の夜、寮に戻って来た妻木の提案で肝試しが行われることになる。一高の時計塔の上まで登って帰って来れば汁粉をご馳走するという彼の誘いに乗って、松下、青野、飯嶋が参加する。飯嶋の後に時計塔に登った妻木が一向に戻って来ず、一同は不審に思って階段を駆け上がる。しかし妻木はどこにもおらず、神津のマントのみが置いてあった。妻木は忽然と姿を消してしまったのだ。神津と松下は彼の行方を独自に捜査することになり、水町家へと赴く。そして、更なる事件に巻き込まれるのだった…。
演出・構成:野坂 実
脚本:須⾙ 英
原作:⾼⽊彬光(光⽂社⽂庫)
出演:
林 ⼀敬/⼩園凌央/
関 翔⾺ ⾼橋曽良 ⼩⼭⿓之介/
細⾙ 圭/加藤雅也
※⾼橋曽良の「⾼」は正しくは「はしご⾼」です。
【⼤阪】2024年3⽉8⽇(⾦)〜10⽇(⽇)
場所:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(⼤阪府⼤阪市中央区⼤阪城36)
【東京】2024年3⽉20⽇(⽔)〜3⽉31⽇(⽇)
場所︓サンシャイン劇場(東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ ⽂化会館4F)
公式サイト:https://nosakalabo.jp/kamizu-02/
『僕の流儀 What’s Next ?』
2024年1月11日より、全国の書店、Amazonで発売!
北野武監督の『BROTHER』や三池崇史監督の『荒ぶる魂たち』など、数多くの映画やドラマで印象的な演技を見せてきた俳優・加藤雅也。60歳という節目の年を迎えるだけでなく、俳優歴35周年、DJを務めるFMヨコハマのラジオ番組「加藤雅也のBANG BANGBANG !」が10周年を迎えた記念すべきこの年、初のエッセイ集が発売されることになりました。モデル時代のエピソードに始まり、メンズノンノ、パリコレ、駆け出しの俳優時代、ハリウッドへの挑戦、帰国後の活動、趣味など……様々な場面で得た学びや気づきを、真っ直ぐな言葉で書き綴りました。