生涯現役、一消費者
私は幸か不幸かいわゆる「トイレが遠い」タチ。外出用のパッドもめったに所持していません。でも小旅行のときは別です。ほかの小物類と一緒に小さなバッグに詰め合わせます。心の中で、
「いやー、おなつかしや。人生が長くなるといろんな場面でお世話になる機会が増えますなァ」
などと心の中で声をかけながら。
人生百年時代。これまでの平均寿命から先の高齢期には、自分自身の心身の症状が変化し、それに適応した品物が必要となります。急に寿命の標準サイズが伸びましたので、私たちはこれからの高齢期で、人類が初めて使う商品の「消費者」となる場面が多くなると思います。
私は少し前から「人生百年、生涯現役、一有権者」が口癖でしたが、近ごろ「生涯現役、一消費者」であることを自覚するようになりました。消費者として気づいたことを、遠慮なくわかりやすく発言していこうではありませんか。
※本稿は、『91歳、ヨタヘロ怪走中!』(婦人之友社)の一部を再編集したものです。
『91歳、ヨタヘロ怪走中!』(著:樋口恵子/婦人之友社)
これからは「おばあさんだらけ」の時代になる、と宣言するヒグチさん。そんな時代のトップランナーとして走る著者の「ヨタヘロ」と「ときめき」の逸話の数々。91歳を超えてますます元気な愉快痛快エッセイ!