末候
牡丹華く 蛇苺*ヘビイチゴ
「ヘビイチゴ」と不運な名で呼ばれるため、毒草だと思われやすいが、毒性はない。
食べてもマズイところから、「ヘビにでも喰わせろ」というのが和名の由来とされている。
でも、このヘビイチゴ、たしかにウマくはないが、実は意外に役に立つものなのだ。
まずひとつは、乾燥させた花期の全草を煎じて服用すると、解熱や解毒に効がある。
そして、もうひとつは、果実をホワイトリカーに漬け込んだ「ヘビイチゴ酒」だ。
こっちのほうは歯ぐきの腫れや痛み、虫刺され、トゲ刺しなどに外用すると即効がある。
したがって、これからは、ヘビイチゴの赤い実を見つけたら、「ヘビなどに喰わせてなるものか!」とセッセと摘み採ることだ。
バラ科ヘビイチゴ属の多年草。
※本稿は、『七十二候を楽しむ野草図鑑 季節の移ろいの中で心穏やかに暮らす』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『七十二候を楽しむ野草図鑑 季節の移ろいの中で心穏やかに暮らす』(著:大海淳/青春出版社)
日本には「七十二候」という自然の移り変わりを細やかに表現した素晴らしい暦があります。
この「七十二候」と筆者の守備範囲である有用植物とを噛み合わせたのが本書です。
巻末には「七十二候を楽しむ野草の基礎知識」を掲載しています。