「理想の自分と現実とのギャップを目の当たりにして、自分のことが嫌いになったりもしました」

先のことは決めず、流れるように生きる

子どもの頃は、ものすごくわんぱくな少年でした。好奇心が抑えられず、思い立ったら即行動。「ここから飛び降りたら、どうなるんだろう?」と、階段の一番上からジャンプして、案の定ケガをしたり(笑)。小中学校時代は、しょっちゅう親や先生に叱られていました。

そんな〈やんちゃ〉な性格が変わったのは、映画好きの家族に喜んでほしくて役者を目指し、名古屋から上京したことがきっかけです。当時は演技のレッスンを受けても、たった1ページの台本がまともに演じられなくて。「普通に歩いて」と言われているのに、緊張で右手と右足が同時に出てしまったり……。

お芝居が下手すぎて厳しく指導され、子どもの頃のアグレッシブなパワーは100%消滅(笑)。理想の自分と現実とのギャップを目の当たりにして、自分のことが嫌いになったりもしました。

でも、コロナ禍で自身とじっくり向き合う時間ができたとき、あがいたところで僕は僕でしかないな、と気づいて。ありのままを受け入れて、流れるように生きていこうと思ったんです。

昔はカナダの俳優ライアン・ゴズリングに憧れていた時期もあれば、我を貫き通す職人さんのような役者になりたいとか、ただかっこいい大人になりたいと思ったこともありましたが、どれも僕には無理なので(笑)。

今はあまり先のことを決めず、自分らしくいることを大事にしたい。そして、歩いてきた道を振り返ったときに、「これが自分の人生なんだな」と納得できたらいいなと思っています。

2020年に出演したドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称・チェリまほ)も、大きな転機になりました。この作品は国内だけではなく、海外にまで広がった。

日本のお芝居が世界に届くことを肌で感じましたし、国内で観てくださる方々はもちろん、海外にも意識を向けなくてはいけないんだなと。それからは、いつも心の片隅で「世界の皆さんに」と思いながら演じるようになりました。