稽古をする相手に感謝する
なるほど、九重さんのお話は、何ごとにおいても「気を入れる」重要性を説いています。
四股も気を入れて踏まなければ身になりません。一事が万事、日常生活の一つ一つのことに気が入らない者が四股だけ気が入るはずがありません。
武道では礼儀を大切にしています。礼儀を形式的なものとしてとらえる人もいますが、そうではありません。本当に大事なのは、その奥にある「氣」の部分。一つ一つの所作に氣が入っているかが礼儀の根幹です。
心身統一合氣道の道場では、稽古の最初に必ず正面に礼をします。いまこうして稽古ができるということは、心身共に健やかで、経済的にも時間的にも許されているわけです。稽古できることを、天地自然に感謝しているわけです。
次に、稽古をする相手とお互いに礼をします。相手がいてくれるからこそ、技の稽古をすることができます。稽古できることを、相手にも感謝しているわけです。
「幸せを感じる」ことと「感謝する」ことはつながっています。形だけの感謝の言葉や行動には、実体がありません。したがって、日々の稽古の礼も実(じつ)がなければいけません。氣が入っていることが大事なのです。
※本稿は『活の入れ方』(幻冬舎)の一部を再編集したものです
『活の入れ方』(著:工藤公康・九重龍二・藤平信一/幻冬舎)
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