最後の年賀状
百福、最後の年賀状
謹賀新年。
昨年を振り返りますと、毎朝、目がさめるたびに、何かしら世の中に信じられないようなことが起こっていて、心が安まるひまのない一年でした。日本中に自然災害が吹き荒れ、子どもの虐待や責任ある立場の人の不祥事などが相次ぎました。生活格差に対する不満も広がり、目を覆いたくなるような心の荒廃が進んだ年のように思えます。わたくしはすべての大人の責任において、これから十年間、本気で子どもたちの教育に力を注げば、日本を再び美しい国にすることができると信じています。
どうか皆様におかれましては、今年こそ心おだやかで、幸せな一年であることをお祈り申し上げます。
平成十九年元旦
安藤百福
百福はこの年賀状を遺言のように書き残し、平成十九年一月五日に亡くなりました。