高脂質食品はわかりやすく太りやすい

脂肪ののった肉汁あふれるステーキ、生クリームたっぷりのケーキなど、脂質の多い食べ物は「太る」というイメージが強いと思います。実際に高脂質食品が太りやすいことは、経験的にも学術的にも分かっています。

動物実験で肥満モデルを作成するときは高脂質食を与える方法が標準とされているくらいです。研究者として断言できますが、それはもう、期待どおりに太ってくれます。

脂質も重要な栄養素。確かに必要ですが、摂りすぎは肥満を誘発します。そして肥満はさまざまな病気のリスクを増加させます。

高脂質食が肥満を誘発する原因として、前述のとおり同じボリュームを食べたときのカロリーが数倍も高いことが挙げられます。しかし、脂質が肥満を誘発する理由は実は高カロリーだから、だけではないのです。

摂取カロリーが同じでも、高脂質の餌を食べたラットでは、体重が変わらないままで体脂肪率だけが大きく増加したという報告があります。カロリーが高くなくても高脂質食は体脂肪を増やすのです。

高脂質食には体脂肪の分解を抑制する作用、ミトコンドリアでの脂質の燃焼反応を低下させる作用のあることが分かっています。高脂質食は「体脂肪をエネルギーとして使いにくくする」ので脂肪がつきやすくなるのです。

また、高脂質食は、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌を減らしてしまいます。レプチンに対する感受性も低下させます。つまり、高脂質食品を摂っていると、レプチンが働かないため食欲の抑制がきかず「食べすぎてしまいやすい」という要素まであるのです。

『学術的に「正しい」若い体のつくり方』(著;谷本道哉/中公新書ラクレ)