笑うっていいな
電話をかけてつながったのは、吉本興業が運営する、構成作家の養成所(YCC。現YCA)。
「何になりたいんですか?」と電話口で聞かれ、「舞台をやりたいんですが、お笑いにも興味があります」と伝えたところ、NSCを紹介されました。
そうは言ったものの、当初は本気でお笑い芸人を目指していたわけではありません。学校へ行ったからといって、まさか自分がプロになれるとは考えてもいなかったし、何より年齢が年齢です。
だから、あくまで舞台について学ぶことが第一で、卒業後は高齢者劇団に戻ろうかなぁくらいの気持ちでした。
ただ、少なからずお笑いにも興味があったのでしょうか。私が子供の頃、中田(なかた)ダイマル・ラケットさんの漫才を見て、「何も道具を持たずに、おしゃべりだけで人を笑わせられるんだ」と感激した記憶があります。
それに、私が吉本に入ったと連絡した時に「やっぱりね」と納得した中学時代の友人が、思い出したように教えてくれたんです。
私たちはいつもゲラゲラと笑っていて、先生から「お前ら、おもしろいから吉本行け」と言われていたと。
確かによく笑ってましたねぇ。とはいえ、これまでの人生で「芸人になりたい」なんて夢にも思ったことはありませんでした。だけど「笑うっていいな」とはずっと思っていたんです。