笑うっていいな

電話をかけてつながったのは、吉本興業が運営する、構成作家の養成所(YCC。現YCA)。

「何になりたいんですか?」と電話口で聞かれ、「舞台をやりたいんですが、お笑いにも興味があります」と伝えたところ、NSCを紹介されました。

『ひまができ 今日も楽しい 生きがいを - 77歳 後期高齢者 芸歴5年 芸名・おばあちゃん』(著:おばあちゃん/ヨシモトブックス)

そうは言ったものの、当初は本気でお笑い芸人を目指していたわけではありません。学校へ行ったからといって、まさか自分がプロになれるとは考えてもいなかったし、何より年齢が年齢です。

だから、あくまで舞台について学ぶことが第一で、卒業後は高齢者劇団に戻ろうかなぁくらいの気持ちでした。

ただ、少なからずお笑いにも興味があったのでしょうか。私が子供の頃、中田(なかた)ダイマル・ラケットさんの漫才を見て、「何も道具を持たずに、おしゃべりだけで人を笑わせられるんだ」と感激した記憶があります。

それに、私が吉本に入ったと連絡した時に「やっぱりね」と納得した中学時代の友人が、思い出したように教えてくれたんです。

私たちはいつもゲラゲラと笑っていて、先生から「お前ら、おもしろいから吉本行け」と言われていたと。

確かによく笑ってましたねぇ。とはいえ、これまでの人生で「芸人になりたい」なんて夢にも思ったことはありませんでした。だけど「笑うっていいな」とはずっと思っていたんです。