予想に反して

面接で聞かれた質問は、2つ。

「学費は払えますか?」
「ビルの6階まで階段をのぼれますか?」

この6階というのがポイントで、NSCの事務所があるフロアなんです。また、女子トイレも6階にしかありません。

NSCのしきたりとして、授業の前に必ず事務所へ顔を出して「おはようございます。今日もよろしくお願いします」と挨拶をしなければならないんです。

その後、5階や4階にある教室へ向かいます。ビルにはエレベーターもありますが、生徒は乗れません。必ず階段を使うルールになっています。

「大丈夫です。のぼれます」数年前に膝の手術をしていますが、もう大丈夫だと自分に言い聞かせ、見栄を張りました。本当は自信がなかったんですけどね。

というのも、どうせ落ちるだろうなと思っていたんです。

その日は、プリントを渡され、その場にいる人同士でペアを組んで掛け合いのようなこともおこなったのですが、まったく手応えがなかったので。

ところがどっこい、予想に反して後日、合格通知が届いた。

「嘘だろ?」

目を疑いました。

※本稿は、『ひまができ 今日も楽しい 生きがいを - 77歳 後期高齢者 芸歴5年 芸名・おばあちゃん』(ヨシモトブックス)の一部を再編集したものです。


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ひまができ 今日も楽しい 生きがいを - 77歳 後期高齢者 芸歴5年 芸名・おばあちゃん』(著:おばあちゃん/ヨシモトブックス)

71歳でひょんなことから吉本興業の芸人養成所(NSC)に入り72歳で芸人デビューした、その名も「おばあちゃん」。

――おばあちゃんはなぜ芸人になったの? そして、なんでそんなに楽しそうなの? クスっと笑えるエピソードやホロリとくる昔話までたくさん語ってくれました。