おばあちゃん限定

申し訳ないと思いましたが、このように“おばあちゃん限定”の気遣いはいろいろなところにありました。

たとえば、私は足が悪いので、どの授業でも椅子を用意してくださいました。

でも他の生徒は皆、床に座って待機しているため、どうしても目立ってしまいます。だから、最初の授業では必ずと言っていいほど、教室に入ってきた講師が二度見、三度見。

その後、アシスタントを務める1年上の先輩芸人に尋ねます。

お客さんとの距離が近くアットホームな雰囲気の中、ネタを披露(写真:『ひまができ 今日も楽しい 生きがいを - 77歳 後期高齢者 芸歴5年 芸名・おばあちゃん』より)

「あの人誰? 参観日?」

幾度となく保護者に間違われてきたので、私には慣れっこのやりとりです。

また、芸名が「おばあちゃん」に決まった後には、こんなこともありました。

私のことを聞いた男性講師にアシスタントが「あの方、おばあちゃんです」と答えたところ、「いくつであろうと、女性に対しておばあちゃんは失礼だ。そういう言い方をしてはいけない」と注意してくださったんです。

すぐに私がフォローすればよかったのですが、緊張のあまり口を挟めず……。

結局、私がネタを見せる際に「おばあちゃんです」と自己紹介をしたら、ハッとした顔をして気づいてくださったようです。

アシスタントの先輩芸人には悪いことをしました。