紫式部も描いた「雨夜の品さだめ」
「源氏物語」にも有名な「雨夜の品さだめ」のくだりがあって、公達たちが、雨の夜、女の品定めをする話である。
平安時代、雨の日の過ごし方や遊び方に、様々な工夫があり、雨をも「をかし」と味わうゆとりがあった。
そして七月、
『七月ばかりに、風いたうふきて、雨などさわがしき日、おほかたいとすずしければ、扇(あふぎ)もうちわすれたるに、汗の香(あせのか)すこしかかへたる綿衣(わたぎぬ)のうすきを、いとよくひき着きて晝寢(ひるね)したるこそをかしけれ。』
梅雨明けには雷が鳴り、風も強く吹き、雨ははげしく降る。そんな日は、涼しく、扇も忘れ、汗を含んだ綿衣のうすいのをかけて昼寝をするのも「をかしけれ」である。
「汗の香すこしかかへたる」という表現が「いとをかし」い。