とりあえず気分を乗せて病院へ

ほかにも、「健康診断のお知らせが来て、今年は頭の健康チェックがあるのよ」という《ウソ》も、かなりの高打率でヒットします。

健康診断の案内は、行政から毎年来るのが通例になっているため、義務的な感覚で、わりとすんなり受け入れることができるようです。

そのとき、「今年は脳や頭を重点的に調べるんだって」「あなた、何年も受けていないから、今年は必ず受けるようにって役所から言われているの」という一言を添えるのもいいですね。

認知症は生活習慣病のひとつですから、早期発見が大切です。

MCI(軽度認知障害)の状態を放置すると、年間10〜15%が認知症に移行するといわれており、初期の段階で適切に対処をすれば、進行をゆるやかにしたり、健常な脳に戻したりできることもわかっています。

「あれ? 最近ちょっとおかしい」と思ったら、とりあえず気分を乗せて病院へ。
それが、その後の生活に「晴れ間」を増やす大きなカギです。

※本稿は、『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』(アスコム)の一部を再編集したものです。

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ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ(著:川畑智、監修:内野勝行、マンガ:中川いさみ/アスコム)

認知症の人とともに生きる上で何より大切なのは、「笑う」こと。認知症介護の中にだって、おたがいに大笑いできる瞬間や、日々の介護の中で心が通じ合う瞬間、心がほっこりと温かくなる瞬間が必ずあります。そんな「晴れ間」を作るための考え方や方法を、著者が経験したエピソードととともに一冊にまとめました。漫画家・中川いさみ先生のクスっと笑えて、じんわり心が温まるマンガとともに、お読みください。