「どうやって病院に連れていくか問題」

本人の性格にもよりますが、こうした率直な物言いは、反発されがちです。

指を差されて「あなたおかしいわよ!」と言われるのですから、受け入れようがありません。

自分はおかしくないと信じている本人にとっては、「お前のほうがボケているんじゃないか」という結論になるわけです。

また、自分の異変に気づいている場合には、「もし認知症だったらどう生活すればいい?」「家族に迷惑をかけてしまうのでは?」「車の免許返納や、趣味もできなくなるのでは?」と、なにもできなくなる最悪のシナリオを想像し、漠然とした恐怖心を持ち、病院に行くことをためらってしまうことが少なくありません。

この「どうやって病院に連れていくか問題」は、全国をまわる講演でも、非常によく聞かれる悩みです。

『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より