(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回、先日注目を集めた皇族女性「式子内親王」について、日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

式子内親王とは

最近、式子内親王(1149-1201)という源平合戦の頃を生きた皇族女性がちょっとした話題になった。敬宮愛子内親王殿下の卒業論文のテーマになったのである。

と言っても彼女はもともと、そこそこの知名度のある歌人であった。

『百人一首』では持統天皇と並んで二人だけの皇族女性の歌人であり

~玉の緒よ絶えなば絶えね永らへば忍ぶることの弱りもぞする~

(私の魂よ 絶えるのなら絶えてしまいなさい、いたずらに長生きしてしまうと、あの人のことをお慕いする気持ちを忍ぶのが弱って、表に出てしまうだろうから。)

は、比較的覚えやすい歌なので、得意札にしている方も少なくないだろう。

しかし式子内親王が具体的にどんな人なのか、あまり知られていないのではないだろうか。今回はそれをまとめておこう。