テニス上達のため、腕のトレーニングは欠かさない(写真提供◎廣林さん)

仲間に会える喜び

仕事の合間に続けていたテニスでシニアの世界大会に出場するようになったのは、定年後の62歳からだ。83歳のときにトルコで開催された大会で準優勝を果たしたが、負けたことが悔しくて、翌年から加圧トレーニングを始めた。

腕と脚のつけ根に専用のベルトを巻き適度に血流を制限することで、小さな負荷でも効果が出やすくなる筋力トレーニングだ。成長ホルモンが大量に分泌されるため、骨や筋肉の成長促進が期待できる。

「その頃にお会いした整形外科医の平泉先生に加圧を勧められ、『テニスで勝つために、84歳からでも始めたほうがいいですか』とお聞きしたところ、『もちろんです』と。がぜんやる気になりました(笑)。以来、先生に紹介していただいた廣林恭子トレーナーにお世話になっています。マンツーマンでサポートしてくださるので安心です」

トレーニングを始めてから疲れにくくなったという恵美子さん。85歳からは、陸上競技の世界にも飛び込んだ。きっかけは、「足の運びが速いから短距離をやってみたら?」とテニスの先生に勧められたことだった。

「何度も誘われるので、それじゃあと軽い気持ちで始めたんです(笑)。そしたら、初めて出場したマスターズの大会で100m(85~89歳部門)の世界記録(記録公認に必要な写真が保持されておらず不認定)が出て。一気に夢中になりました」