お気に入りの万年筆とインクでお礼の手紙をしたためる圭左さん

お客さんの声が励みに

以来今日まで、娘夫婦の協力を得ながら店を続けている。店で扱う漢方薬や自然薬は、必ず自分で試すのが圭左さんのポリシーだ。

問診票だけでなく会話を通じてお客さんの症状に合う薬を選ぶ、商品を送る際には直筆の手紙を添えるなど、その姿勢は一貫して変わらない。常連客の中には、30年、40年と通い続けている人もいるという。

「たとえば風邪薬ひとつお出しするのでも、少しおしゃべりすれば、その方のことがよりわかるでしょう。会話があると人とのつながりができますし、何より楽しいですから。

手紙も、時候の挨拶だけでは味気ないので、世間で起きている面白い話などを入れるようにしています。だから書くのに時間がかかっちゃって(笑)。夜寝るまでの時間やお店が暇な時など、ずっと机に向かって書いています」

現在、5人の孫と8人のひ孫がいる。自身が不健康では申し訳ないと、お酒は飲まずタバコも吸わず、若い頃から体をいたわってきた。

年齢とともに減少する脳細胞を補うため、今も文献を開き、新たな知識を吸収している。何度も読み込んだ跡のある分厚いテキストが、彼女の情熱を物語っていた。

「薬剤師の集まりに行っても、お会いするのは年下の方ばかり。それも元気でいられる秘訣かもしれません。私自身は年齢を意識していないので、101歳なんてすごいですね、と言われてもピンとこないのですが(笑)」

とはいえ、週6日も店に立つのは体力的にも厳しいはず。店を閉めようと思ったことはないのだろうか。