問題児になるケースも
しかし、そううまくいくとは限りません。
戦略に失敗し、母親の期待に応えられないと、それまで抑圧してきた分だけ反抗期が激しくなります。そして、学校に呼び出されたり、警察のお世話になったりする問題児になることもあるのです。「高校を卒業して家を出て以来、めったに実家に顔を出さない兄」になるケースもあります。
また、子どもの頃から自分に鞭(むち)打って頑張ってきた兄は、何らかの理由で挫折を経験すると、立ち直れないほどのダメージを負うことも珍しくありません。
子どもに過度な期待をかける母親の場合、兄が期待通りにならないとわかると、今度は弟をターゲットにして、兄との比較の元で弟を頑張らせることもあります。
「お兄ちゃんはもうダメ。あんなふうにならないでね!」
と常に兄を比較対象として持ち出すのです。
このケースでは、多くの弟が兄を怖い存在として認め、反抗できないまま大人になります。
それゆえ、弟はまるでお母さんのあやつり人形のようになってしまい、自立心も自主性も持てない子になってしまうケースも珍しくありません。
自由にならないストレスは甚大なものですから、失敗や挫折に直面すると、「人生、詰んだ!」とばかりに絶望してしまうのです。