理由なき転倒
よく転んだ私ですが、60代、70代の頃の転倒には「急いでいた」とか「床がツルツルだった」「出っ張りがあった」など、ちゃんと理由がありました。
ところが、さらに年を重ねると、やってくるのが理由なき転倒です。
「90歳くらいになると、ただ立っているだけで、ふわーっと転ぶことがあるんですよ」とおっしゃったのは、女性政治家の草分け加藤シヅエ先生です。
そのお話を聞いたとき、私は70代。正直、そういう場面を想像できませんでした。
しかしながら、ついに私もそれがわかる年頃になってしまいました。
あるとき、玄関に立っていたら、本当にふわーっと倒れたのです。
べつに段差につまずいたわけでも、スリッパを踏んづけてすべったわけでもありません。偶然目撃した助手によりますと、突然全身の力が抜けたようにグシュグシュグシュとくずおれたそうです。
いくらふわーっとでもグシュグシュでも、体重の重みで勢いがついて床に叩きつけられれば、大ケガにつながることもあります。
私の場合、幸い骨が丈夫なのか、若いときの転倒も含めて骨折したことはありません。ただ、打ち身、擦り傷、青あざとはすっかりおなじみです。
理由がないので、注意したくてもしようがありません。でも、ヨタヘロ期にはこのような未体験の出来事も起こるのだと心におとめおきください。
※本稿は、『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』(著:樋口恵子・坂東眞理子/ビジネス社)
「人生100年時代…長生きするなら、幸せの時間も2倍にしましょう!」
時代の先端に立ち、世の中をリードしてきた先駆者2人。
現在の日本が直面している超高齢化社会を、楽しく豊かに生き抜く知恵を紹介します。