人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。

老後、自分の家で過ごすために

老後は、病気やケガなど、いつ何が起こるかわかりません。しかし、多くの人は、たとえば足腰が多少不自由になったとしても、施設に入らずに自分の家で過ごしたいと思うでしょう。

そのためには、自分に何ができるか、何ができないかを考えるとともに、あれこれ情報を集めて、それを活用する、つまり「他人の手を借りる」という頭の柔軟さも必要です。

家の中で歩くのにも杖が必要で、外出時には車椅子のボランティアを頼んでいる「要介護2」の男性がいます。

週に2日は介護保険のホームヘルパーの支援を受け、近くにある介護老人保健施設のデイケアを利用し、リハビリをしたり、施設の同年代の人たちと語り合ったりと、楽しい時間を過ごしています。

施設では入浴の介助も受けられ、送迎もボランティアの方が車椅子を押してくれます。在宅している日の食事は、ケアマネジャーに頼んで施設から運んでもらっているので、不自由する心配もありません。在宅介護と地域福祉サービスをうまく組み合わせて、自宅でのひとり暮らしをしているわけです。