仕事で体を酷使し、間質性肺炎を発症

引退を決めた理由は他にもあります。僕は数年前、肺胞の壁に炎症や損傷が起こる間質性肺炎を患いました。これは進行の度合いによっては、5年生存率が30%程度になるという非常に怖い病気です。

僕には笑福(えふ)という8歳になる息子がいるのですが、病気を発症したのは彼が生まれて2年目くらいの時でした。医師から説明を聞いた時は本当にショックで、「こんな小さな子がいるのに、ここで死んじゃったらどうするんだ」と目の前が真っ暗になりました。

毎日のように〆切があり、寝ていてもうなされて熟睡できない。ストレス過多で心身ともにギリギリの状態でした。仕事量を減らせばいいと言っても、僕の場合、自分でやりたいことを増やしちゃっているのでどうにもならないんですよ(笑)。そこで思い切って、仕事そのものを辞めることにしたのです。

妻(「森三中」の大島美幸さん)に「引退しようと思うんだけど」と告げた時は、一言「おせーよ!」と言われました。彼女も僕のことを、相当につらそうだと心配しながら見ていたそうです。

SMAPへの思いは、今回出版した僕の小説『もう明日が待っている』に込めました。最後まで義援金の告知をしていた彼らに倣い、この本の著者印税はすべて能登半島地震の義援金として寄付すると決めています。

『もう明日が待っている』(著:鈴木おさむ/文藝春秋 )