「なぜ勉強するの?」への答えは
多くの子どもにとっては、ゲームやマンガ、テレビのほうが面白いですし、勉強はつまらないこともあるし、やらなければ成績が下がり、余計につまらなくなるという悪循環にも陥ります。
子どもたちも「なぜ勉強するの?」と疑問をぶつけてくるようになります。
なぜ勉強するのか。それはたくさんの知識を身につけて、困ったことに出会ったときに、どうにかこうにか切り抜ける知恵を持てる人間になる、自分の幸せを見つけられる人間になるため、というしかありません。
これはかなり概念的な説明なので、子どもにはわかりにくいでしょう。
だからといって、いい学校に入って、いい仕事につけば、お金持ちになれる、という説明をしてしまうと、お金持ちになるために勉強するという論理になってしまいます。
何のために勉強するのかという質問に、うまく答えるのは難しいことです。なぜなら、その子によって、そして育った家庭によって答えが変わってくるからです。
自信をつけるため、努力することを身につけるため、豊かな人生を送るため、などなど、その子の発達過程を見極めながら、その子にとって今、どういう表現が適切なのかを考えて、親子でそのときの暫定的な結論を出してみていただきたいと思います。
その答えこそがまさに「生きる力」を備えるためではあるのですが、その概念が理解できるのは、大人になってからです。そこが厄介であり難しいところです。
※本稿は、『心を育てる中学受験-全員が中学受験する洗足学園小学校が大切にしていること』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『心を育てる中学受験-全員が中学受験する洗足学園小学校が大切にしていること』(著:吉田英也/中央公論新社)
全員が中学受験をする名門校「洗足学園小学校」。
受験をサポートする体制を作りあげた前校長が教える、「人生の役に立つ」教育メソッド。