環境が変われば、しんどくなるのは当たり前

つい人と比べてしまって「あの人みたいに、いつも明るく穏やかに仕事できたらいいのにな」なんて落ち込む人、SNSの発信ですごい人を見ては、「こんな私のままじゃダメだ……」とため息をついてしまう人もいます。

今って、SNSを開けばすぐに他人と比べることができるうえ、昔から変わらず、あれこれよけいなお世話を言ってくる人たちもいて。「自分は自分でいい」という気持ちが揺らぎやすかったりします。

『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(著:藤野智哉/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そんななかで「そのままの自分では生きられない」というのもわかります。

でも、「自分らしさ」をなくしてまで、自分の本当の気持ちや、本来の特性を置き去りにしてまで、変わったりしなくていいのではないでしょうか。

他人を目指した先に理想の自分はいません。

転職や異動など職場の変化、出産や引っ越し、別れなど生活環境や人間関係の変化があって、「新しいところで適応しなきゃ」みたいに感じる人も少なくないと思います。

「新しい職場に早く慣れて、仕事も覚えなきゃ」「仕事も育児もちゃんと両立して、迷惑かけないようにしないと」などとがんばって、まわりに合わせよう、状況に適応しようとする人たちです。

職場や周囲の環境に合わせよう、なじもうとすることも大事だと思いますが、そんなときは「変わらなきゃ」とあせらないで、まずは疲れたり、しんどくなっている体や気持ちのケアのほうを先にしてみてほしいのです。

大好きな人との結婚や望んだ会社への転職、昇進など、うれしいことやおめでたいことであっても、環境変化はストレスになったりするものです。

ましてや望んだ場所ではなかったり、苦手なタイプの人が上司になったりした場合、親しい人とのお別れなどで大きく環境が変化した場合は、さらにストレスの負荷が大きくなったりします。

今までとは大きく環境や状況が変わるのですから、心も体もしんどくなって当たり前なんですよ。

心身のケアができて、落ち着いたときに、それでもあらためて「変わろう」と思えたのなら、変わればいいんじゃないでしょうか。

「自分を変えよう」とすることも大事だけど、「自分をケアする、いたわる」ことも大事にしてみてほしいなと思います。